マイクロソフトはゲーム体験を常にテクノロジーを使って向上させてきました。Xbox 360初期のディスクドライブの読み込み音問題をファームウェアアップデートによりフルインストールに対応させて解決したことや、Xbox OneではVirtual Machineの技術を使い後から互換機能を搭載したのも記憶に新しいと思います。そんなマイクロソフトが私たち非英語圏のゲーマーにとって最も望んでいる機能の搭載に向けて、機能開発の検討を行っていることが分かりました。
自動翻訳機能の開発検討中
マイクロソフトは製品開発に一般の有志を募り、Insiderとして製品のテストや開発に関する意見を広く募集しています。これはWindowsだけでなく、XboxやOffice、ゲームソフトに至るまで様々な製品で行われています。
そんなInsider Programのアンケートで、マイクロソフトは「機械翻訳」を使ったローカライズ機能について検討していることがわかりました。
Xbox Game Studios ローカライズチームでは、英語圏以外のお客様のために最高品質のエクスペリエンスを実現することに、熱意を持って取り組んでいます。現在、英語以外のダイアログの生産方法を調べています。”ダイアログ”とはゲームまたはメディアの中で話される台詞のことです。
当業界に置いて生産されたダイアログがより高度になってきており、それについて皆様のご意見をお聞きする必要があると考えました。”自動生産されたダイアログ”とは、コンピューターのスピーチ合成機能を使用して作成されたダイアログのことです。
Microsoft Translatorが、遊びを変える。生活を変える。 …かも知れない。
マイクロソフトは2020年にはビデオゲームプレイヤーが全世界で20億人に到達することが見込まれており、そのすべてに関わりたいとしていました。もちろんXboxハードウェアを20億人に売るのは無理がありますが、既にマインクラフトでは1億2000万人を超えるアクティブユーザーがおり、Xbox Game Passにも1000万人を超えるプレイヤーがいます。今後Project xCloudでスマホでのゲーム展開、そしてWindows 10でのPCゲームの強化、Xbox Series Xで高品質なゲームの提供を行う予定です。
しかしマイクロソフトが提供しているコンテンツのすべてが全世界の言語に翻訳されているわけではありません。例えば、Xbox Oneのタイトルでいえば「Sea of Thieves」「Crackdown 3」「State of Decay 2」、そして数え切れない多くのサードパーティ・インディーゲームが日本語に対応しないまま発売されています。
英語が十分に得意でなくても、レースゲームなど文字情報が少ないゲームは比較的プレイしやすいゲームもありますが、ストーリーが複雑なゲームタイトルでは十分に理解できないこともあり、日本人のプレイヤーが少ないXboxで遊ぶ上で言語の壁は高い障壁となっていました。
もしもこの「自動生産されたダイアログ」を翻訳する機能をマイクロソフトがリリースすれば、これは間違いなくゲームチェンジャーといえる機能です。機械翻訳による簡易的な翻訳であれば日本語でプレイすることになるので、英語に拒否反応がある人であっても、今までプレイ出来なかったゲームがプレイ出来ることが出来るようになる可能性があります。
マイクロソフトは試験的ではありますが、Xbox Oneの世代ではボイスチャットの転写機能も実装していたのは注目すべき機能かも知れません。これはボイスチャットを音声認識でテキストとして表示する機能ですが、これに翻訳機能が追加された場合、言語の異なるプレイヤーとも意思の疎通が可能になります。このボイスチャットの翻訳機能については既にPlayFabがXboxパーティのAzureを使った翻訳機能を提供すると発表しています。
さらにこの機能はゲームだけに止まりません。マイクロソフトはこの機能を映画やテレビ番組に対しても検討しています。つまり日本未発売の海外版ブルーレイを自分のXboxで再生すれば、簡易的な翻訳をXboxがつけてくれるようになるかも知れないということになります。
またこのテクノロジーがXboxで実現するとすれば、それは競合他社がマネしづらいユニークな技術です。「機械翻訳」や「ディープラーニングによる翻訳」は多くの企業が提供していますが、クラウドサービスの利用料がかかるため、ゲームのように大規模で長時間翻訳データを提供することは難しいと考えられます。そのため翻訳サービスとゲームサービス、クラウドサービスの全てを提供しているマイクロソフトならこの機能を現実的に提供することが出来る可能性があります。
洋ゲーやインディーゲームを好むゲーマーにとっては、どんなに美しい映像よりも次世代感を感じることが出来るかもしれないこのテクノロジーですが、早く正式な発表を待ちたいですね。
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