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「Halo Infinite」の「Slipspace Engine」のグラフィックテクノロジーはどう優れているのか。

343 IndustriesはE3 2018で初めてHalo Infiniteのグラフィックテクノロジーデモ映像を公開しました。 長い沈黙を続けていた同社の人気シリーズヘイローがついに帰ってくるとして多くの注目を集めている本作ですが、今の時点で語れることはそれほど多くありません。

343 Industriesが手がけたHalo 4はXbox 360の驚くべきテクノロジーの結晶であり、Xbox 360で最も優れた映像を体験できるゲームの1つです。 一方でマスターチーフコレクションによるリマスターやHalo 5:Guardiansではグラフィックスについてはやや地味な評価となっています。

ヘイローブランドの復活のため、マイクロソフトは再びかなりの投資を行っており、Halo Infiniteは今までで最大規模のタイトルになるといわれています。 そんなHalo Infiniteのテクノロジーデモから見えるグラフィックスエンジンの機能を見ていきましょう。

 

Slipspace Engineとは?

従来のヘイローシリーズでは「Halo Engine」と呼ばれる独自のゲームエンジンが使われていました。 これはオリジナルのヘイローを手がけたゲーム会社Bungieによって作られたゲームエンジンで、Halo:CEからHalo 5:Guardiansまでこのゲームエンジンをベースにして何度も改良が加えられ使われ続けてきました。

しかし古いゲームエンジンを使い続けることはいくつかの問題もありました。 343 Industriesはこのエンジンが素晴らしいものであることを認めているものの、開発の難しさによりちょっとした変更を加えるにも時間がかかるなどの問題があったとしており、今回新たにゲームエンジンの開発が行われました。

今回発表された「Slipspace Engine」は343 Industriesのスタジオ史上最大の投資と言われています。 これは、Xbox Scarlett以後の世代を見据えた新ゲームエンジンです。 Xbox One世代のゲームハードでも動作しますが、次世代XboxであるProject Scarlettではより優れたパフォーマンスで動作します。

今までの話を聞く限り、Project Scarlettの鍵となるのはCPU性能の大幅な向上です。 Halo Infiniteの初期のデモではサイの大群など高速CPUだから実現した深いシミュレーションを示しています。 またこれとは別にSlipspaceは描画距離とLODを引き上げるように見えます。 Haloは比較的線形のシークエンスとなっています。 しかし新しいInfiniteという名前は、より自由なレベルデザインを示唆しています。 そして新しい照明テクノロジーの大規模なオーバーホールも無視することは出来ません。

 

新しい”ライティング”

以前のHaloシリーズではハイブリッドディファードが使われてきました。 このテクノロジーでは、環境に置いて適切な数の動的な照明が実現しています。 しかし照明の大部分はベイク処理されたままであり、パーティクルエフェクトは光を発したり受けたりせずに、爆発や銃撃のような物は静的な動作をしていました。

Halo Infiniteの2019年のトレーラーを見ると、ライティングアプローチは抜本的な見直しが行われています。 Halo Infiniteでは完全にディファードソリューションが使われているように見え、一度のシーンで多数のライティングを処理しています。 アラートの照明から色の付いた光を放ち、ラジオシティが反射した色を他の場所に伝えている様子は特に印象的だと言えます。 これはHalo 5: Guardiansからの大きな変化の1つです。 常時60fps体験を実現するためにHalo 5:Guardiansではグラフィックスの様々な部分で妥協が行われました。 動的照明もその1つです。 しかしHalo Infiniteでは動的な照明が実現しています。

 

※ハイブリッドディファード - ディファードシェーディングとフォワードレンダリングを組み合わせた物。 これは地形のライトマップをベイク処理する仕組みでHaloではHalo Reachで初めて採用されました。

※フォワードレンダリング - オブジェクトごとにライティングが計算される仕組み。

※ベイク処理 - 物理シミュレーションを元に変化するのではなく、事前に結果をアニメーションカーブなどに固定し、ライティング結果をテクスチャに固定すること。 これによりシーンの計算処理を減らすことが出来、処理負担を軽減することが出来ます。

※ラジオシティ - 物の色を反射させるグローバルイルミネーションの表現方法の1つ。 これによりグラフィックは写実性が高くなります。

 

新しい"マテリアルとテクスチャ"

物理ベースのレンダリングが”完全に”有効になると考えられます。 この機能はHalo 5:Guardiansでも既に導入されていましたが、343 Industriesのアーティストが本格的な実装をする時間はありませんでした。 マテリアルレンダリングの品質は一貫しておらず、PBRは特定のシーンで展開されていましたが、他の場所では展開されていませんでした。

Halo Infiniteでは、全体にわたってこの素晴らしいマテリアルレンダリング品質が得られるようになります。 343 Industriesはマテリアルレンダリングパイプラインの高速化を行うために、様々な努力を行っています。

公開されている映像を見ると、金属から衣服に至るまですべてが物理的に正確に表現されているように見えます。 非常に高解像度なテクスチャ(4Kテクスチャアセットが適切に展開されている)とともに、素材も今までよりもはるかに説得力のある表現が可能となりました。

 

※PBR - フィジカルベースドレンダリングの略。   現実の世界を模したより現実的なレンダリングを行い、フォトリアルなグラフィックスを実現します。

 

強化された"モデル品質"

シーンごとのボリゴンは大幅に増加しています。 その結果キャラクターモデル及び環境オブジェクトはポリゴン数が急激に増加しました。 髭を生やした海兵隊員を見ると、明らかに目立ちます。 顔は有機的に表現され、以前のようなブロックのような感覚はありません。

マスターチーフの手袋の皮の折り目といった細かな部分も、平らなテクスチャで表現されるのではなく、ジオメトリとしてレンダリングされています。 キャラクターレンダリングは、特にサブサーフェイス・スキャタリングを使うことでより説得力があるものに出来、”ワックス感”の少ないキャラクターの肌を手に入れることが出来ます。

モデルの品質だけを見ると、現行世代から大きく進化したわけではありませんが、常に60fpsで動作するであろうゲームでこのようにリアルな表現が出来るのは非常に素晴らしいことです。

 

※サブサーフェイス・スキャタリング - 光が半透明な物体を透過し、内部に散乱した後表面から出て行くメカニズムのこと。 肌は光が当たると内部が僅かに透けて見えるが、フォトリアルな表現をするためにこれが使われている。

 

 

トレーラーに見る”フレームレート”

公開されているトレーラーのフレームレートについても言及すべき点です。 映画のようなシーケンスが表示されているシーンであっても、完全な60fpsで表現され、フレームドロップなしで動いているように見えます。 これがもし製品版でも同じ品質であれば、それは驚くべき事です。

Halo 5: Guardiansにおいて殆どのシーンで60fpsで表現されています。 しかしこれは60fpsをするためにあらゆるものが妥協されてきました。 フレームあたり8.33msの極めて短いレンダリングコストでは、動的解像度から静的ライティング、低品質なマテリアルまで、いくつもの妥協を意味しています。 常に60fpsを実現したHalo 5: Guardiansは、旧世代向けに作られたHalo 4と比べても見栄えが悪い部分があるのはこのためです。

Xbox One版Halo: The Masterchief Collectionに収録されているHalo 4がレンダリング解像度の向上とフレームレートの向上を手に入れたということを考えると、Project Scarlettを使うと開発者は2倍以上のGPUと数倍以上のCPUパワーを手に入れられることが考えられます。 興味深い要素の1つは常に60fpsを利用できると言うことです。 スカーレットは、今まで行っていた妥協を行うことなく、高解像度で60fpsを実現するだけのリソースがあります。

Xbox 360の時代以降、開発者はレンダリンググラフィックスとフレームレートのトレードオフを行ってきました。 モーションブラーに関係なく、本質的にアクションゲームにとってフレームレートは非常に重要な要素の1つです。 Halo Infiniteがトレーラーのようにカットシーンでも60fpsを達成していれば、Scarlettは非常にパワフルなものであることがわかります。 しかしトレーラーはあくまでイメージであり、343のターゲットレンダリングに過ぎません。 実際のところどのようにゲームで実装されるかはまだ分かっていないのです。

 

Haloらしい"ポストプロセスパイプライン"

Halo Engineにおいてポストプロセスパイプラインは強みです。 Halo 3では正確なHDRやグローバルライティング、カットシーンでの被写界深度効果を特徴するため、ネイティブ解像度は640pで行われるというほどリッチな効果が使われていました。 最新のトレーラーを見ても、Slipspace engineでこの伝統を引き継いでおり、幅広い高品質なポストエフェクトを展開していることが分かります。

Haloの代表的なオーバーブルームライティングとアラートアラームは広範囲で使われています。 これは強化されたライティングパイプラインにより、ライトバウンスが可能となりました。 全体的なエフェクトは、以前のタイトルのようにブルーム自体に基づいているわけではありません。 海兵隊員の顔をクローズアップするシーンでは、高品質なボケの被写界深度エフェクトが使われています。 動的DoFは実装にコストがかかると考えられるため、これを60fpsで表現しているのは素晴らしいことと言えます。 Halo 5: Guardiansでもこのエフェクトは使われていましたが、30fpsのカットシーン中のみに制限されていました。 動的DoFが実際にゲームプレイ中にも使われるかどうかは今後の映像でわかることとなります。

そして最後にオブジェクトごとに優れたモーションブラーが扱われます。 モーションブラーはXbox One世代では30fpsのゲームのフレームレートをごまかすための表現として使われることが多い物でした。 しかし今度は60fpsのゲームでよりスムーズな映像を表現するために実装されます。 モーションブラーと60fpsを上手く組み合わせることで、非常にスムーズなアクションと映画的な表現を同時に実現することが可能となります。

 

まとめ

Slipspace EngineはProject ScarlettのショーケースのためにこれまでのHaloのエンジンを捨てて、1から設計されました。 ライティングとマテリアルの大幅な改善は、これまで公開されているHalo Infiniteの映像から見える最大の特徴と言えます。 しかしグラフィックスの品質を語る上で非常に驚くべき事なのは、高解像度グラフィックスで60fpsに完全にロックされたようにみえる映像でこれだけ多くの処理を行っていると言うことです。 ゲームのグラフィックスは既に頭打ちのように言われることもありますが、これがProject Scarlettのグラフィックスの基準となるとすれば、今後のゲームグラフィックスにはまだまだ期待出来るということになります。

ヘイロー:マスターチーフコレクション

ゲームについて

新たにリマスター化された Halo 2: Anniversary を含む 4 作すべての Halo ゲームが Xbox One X で 4K UHD と HDR 対応*となりました。

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Halo Infinite Graphics Analysis – Slipspace Engine Shows off its Technical Prowess
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