ゲーミング(Xbox/Windows)

Quantum Break が 720pでも美しすぎる訳。

 

Xbox OneでリリースされたQuantum Breakですが

発売前は720p 30fpsという現行機にしては

低い数字から”グラフィック”に関する懸念がありましたが

実際のゲームプレイでは素晴らしい物に仕上がっていましたが

はたしてどういうカラクリなのでしょうか。

 

 

quantum-break-pc-announcement-screenshot-006[1]

 

動画でも720pでも高ピットレートなら違和感がない

ネットストリーミングでよく使われている720pという解像度。

HD解像度でもフルHD動画よりは少し見劣りするものの

違和感なく動画を見れるという経験がある人は多いのではないでしょうか。

 

 

Youtubeや有料動画サービスHulu、Dビデオなどは

720pの解像度に設定されていますが

HD解像度なら問題ないですよね?

 

 

テレビに最適なのは「720p」

XboxOneはテレビでプレイすることが前提のデバイスです。

テレビとパソコンモニターの大きな違いとしては

やはり”視聴距離”の違いでしょう。

 

スマートフォンでは目とディスプレイの距離がかなり近く、

パソコンはやや近いのに対して

テレビは距離が少し離れたところから見るのが一般的です。

 

つまりテレビで視聴する際には

解像度よりも1ピクセルあたりの情報量を優先した方が

よりいいグラフィックにすることが出来る可能性があります。

 

日本の地デジ放送も1080pではなく、

1080i(1440x1080p)と少し解像度がかけていますが

あまり問題はなかったりしてますね。

 

スマートフォンで最近の高解像度端末で

6インチで4K解像度、1080p解像度の端末でも

実使用環境で触っても殆ど違いが分からないのと同じで、

距離による最適解像度を超えると人間の目で違いを

判断するのは難しくなります。

 

マイクロソフトではXboxOneの論理解像度は720pに

するように推奨しています。

(ピクセル単位でのUIなどの違いについては

UWPアプリの設計に関する記事を参考にしてください)

 

※論理解像度 - 物理サイズに対する理屈上の解像度。

実際の出力解像度は1080pで出力される。

 

テレビが720pな理由はこの辺を参考にしてください。

例1

 

ゲーム以外の物は大抵30fps以下

たとえば映画やアニメは24fps、テレビは30fpsの動画です。

にも関わらず”カクカク”していると感じる場合はまず殆どないはずです。

※感じた場合はPCなど再生デバイスの問題の可能性もあります。

 

これは安定した30fpsならそもそもそこまで違和感を感じることがないからだと思います。

そのため映画的な表現に近い「30fps」という数字は手法としては

それほど悪い物ではないと思います。

 

ちなみに60fpsが好まれる理由はたとえば高速で移動するレースゲーム、

ほんの一瞬の出来事が左右するマルチプレイFPSにおいて

1秒により多くの情報を獲たい!というのが理由ですが

今回のように”ストーリーを語るシングルプレイヤーTPS"では

必ずしもフレームレートが重要という訳では

ないのではないでしょうか。

 

ちなみに映画で24fpsの倍の48fpsを採用したホビットという映画では

「映像がまるでゲームのよう」と批判されたんだそうです。

 

ジャギをごまかす! 高負担なMSAA x4を採用

msaa-edges[1]

 

しかしゲームの世界では720pは低画質とされます。

というのも720pではポリゴンの荒が目立ってしまい、

エッジがジャギジャギ(ジャギー)が発生してしまうのです。

 

これをごまかす方法としてピクセルとピクセルの間に

サブピクセルを用意してスムーズにするMSAAという方法があるのですが、

処理負担が高いため家庭用ゲーム機ではあまり好まれませんでした。

 

それを贅沢にも4倍にしてQuantum breakでは使っています。

 

フィルム効果エフェクトで単調になりにくいグラフィック

Quantum-Break_REVIEWS_Screenshot-18[1]

動画やカメラでは暗い部分ではちょっとしたノイズがはいったりします。

本作ではうっすらとこのザラっとしたノイズが常に表示されており、

より実写に近い感覚でプレイすることが出来ます。

 

美しいリッチなエフェクト

news_quantum_break_gamescom_trailer-16968[1]

ゲームのグラフィックは解像度やフレームレートだけでは決まりません。

テクスチャ、ライティング、シャドウ、モデリングなど様々な要素が

絡み合ってゲーム映像が作り出されています。

 

Quantum Breakでは処理が重たいとされる

ブラー処理(残像)もかなりきつくかかっていたり、

時間の静止を表現する特殊なエフェクトや

銃弾の軌跡が美しくリアルタイムで光など

ほかのゲームでは実現されていないグラフィックとなっています。

 

独自ゲームエンジンだからこそ出来ること

近年UnityやUnreal engineといった

混用エンジンが大作、小規模タイトル問わず

多くのタイトルで活用されていますが

Quantum breakは独自エンジンを採用。

 

Northlight Engineとよばれるエンジンは

クオンタムブレイクでしか使われていないエンジンで

Direct X12にを完全サポートし、

ダイナミックな光の表現と魔法のような表現時間の表現が可能です。

 

またESRAMに最適化されたエンジンだったとのこと。

 

※Northlgiht はオーロラという意味で

おそらく光の表現を意識したエンジンという事だと思われます。

 

実は低解像度、低フレームレートを選ぶ方が作るのは大変?

高解像度、高フレームレートにする場合は

負担を減らすために光の処理やエフェクトを極力シンプルにし、

より視覚的に影響があるもののみに絞り簡素なグラフィックになるのが普通です。

 

それに対して今回のように低解像度、低フレームレートを選択した場合

その空いたマシンパワーを各オブジェクトに高解像度のテクスチャを描いたり、

光や影などのマッピング、オブジェクトのアニメーション、

そして物体によって様々な事が起こるエフェクトなど

開発しなくてはいけない作業が増えてしまいます。

 

ある意味ゲーマーから評価されやすい、

「安易で評価されやすい高解像度、高フレームレート」を選択せず、

「リッチなグラフィックを実現するために解像度とフレームレートを犠牲にした」

今回の選択は英断だったと言えるでしょう。

 

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Quantum Break、セールで買ってもいいので

興味があればいつかやってみてください!

 

今年発売されるゲームタイトルはアンチャーテッド4やギアーズオブウォー4など

素晴らしいグラフィックスのタイトルがたくさん発売されると思いますが、

本作も方向性は違えど「2016年のベストグラフィックゲーム」の1つだと思いました。

  • この記事を書いた人

のっそす(WPTeq運営)

WPTeqのメインライター兼管理人。 初めてパソコンを購入した際にWindows Meでトラブルに見舞われ、それ以降Windowsに関するさまざまな資料を読むようになる。 Zuneに惚れ込んで以来、Microsoft製品にハマる。 好きなピニャータはファッジホッグ。

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