XboxOneでリリースされているサードパーティーのゲームタイトルの中でも特にグラフィックが印象的だった作品の1つ、DOOM (2016)を開発したid softwareのTiago Sousa氏をはじめとするゲーム業界のグラフィックのスペシャリストたちはScorpioの性能の使い方についてTwitter上でコメントしています。
グラフィックのエキスパートは”4K解像度不要”と結論!
@AndrewLauritzen @SebAaltonen @dougbinks @ryszu yes, even more on on tvs/consoles where player sits at distance. 4k is a waste of resources
— Tiago Sousa (@idSoftwareTiago) 2016年6月15日
発端となったのはPower VRのシニアエンジニアリングマネージャRys Sommefeldt氏の「Project Scorpioで4Kゲームが出来ないという噂はばかげている。 それより1080pレンダリングに6Tflops使ったほうがいい」というツイート。これに対して多くの開発者がリプライを返信しています。
元UBISOFTリードシニアレンダリングのSebastian Aaltonen氏は「俺なら1080pで4xMSAAにするね。 これなら1つのサンプルを1つのピクセルとして解決できるし、アップサンプリングよりも優れてる。 完璧な線になる。」とリプライ。
元CrytekのDougBinks氏も「TAAなら1080pレンダリングで4Kの問題も解決できるはず」とリプライ。 TAAはTemporal Anti Aliasingの略で時間差の映像を利用してエイリアシングを除去する新しいアンチエイリアシング方法で、これを使えばテレビでは気にならないだろうとコメントしています。
Id softwareのリードレンダラープログラマーのTiago sousa氏は「そうだ、その方がゲーマーのためになる。 テレビとプレイヤーには距離がある。 ネイティブ4Kは性能の無駄遣い」とコメントしています。
なぜ4Kはゲーム機にはいらないと言われるのか
スマートフォンの解像度は小さいモニターに最近では安いものでも1080p、凄いものなら4Kをあの小さなモニターに搭載している機種も存在します。 これはスマートフォンが人間の目と使用する距離が近いため高い解像度があった方が見栄えがいいだろうということだからです。
PCのモニターも同様に人間と目の距離は近いためゲームの解像度は重要な選択肢になります。
それでは家庭用ゲーム機ではどうでしょうか。 家庭用ゲーム機は一般的にリビングで大きなテレビで遊ぶことを前提に設計されているものです。
ソファーに座ってコントローラを握ったプレイヤーは1m以上の距離があることが想定され、人間の目が認識できる細かさの範囲では4Kはオーバースペックといえます。実際マイクロソフトのガイドラインではテレビ向けコンテンツのUIは文字が読めなくなることを考慮して720pを論理解像度(UIを配置するためのデータ上の解像度)で1080pでレンダリング(実際のレンダリング)しています。
それなら1080pをターゲットとしてゲームを作り、その分映像を作り込んだ方が素晴らしいものが出来るはずだというのが今回の意見です。
解像度やフレームレートだけが”グラフィック”じゃない
数字で語るのは簡単ですが、グラフィックの凄さは解像度やフレームレートだけではありません。 驚くような光の演出や大規模な物理演算、細かなテクスチャ、正確な影やグローバルイルミネーションなど様々な映像効果を性能に割り振ることでさらに綺麗な映像を作ることが出来ます。
現行機では「Quantum Break」があえて「720p/30fps」という選択を行いました。 解像度やフレームレートがもてはやされるゲーム業界ではとても勇気がある選択でしたが、その分ほかのゲームでは見ることが出来ない素晴らしい演出の映像を作り出すことに成功していました。
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