XboxはBethesdaの親会社であるZenimax Mediaの買収を発表しました。これによりBethesdaを含むいくつかのスタジオがマイクロソフトのファーストパーティスタジオとなります。しかしこの買収に至るまでBethesdaとマイクロソフトは密接な関係を築いてきました。
DOOMがきっかけで生まれた!? Windowsのゲーム機能DirectX
Bethesdaのグループ会社であるid Softwareの話ですが重要なエピソードなのでご紹介します。
Windowsでゲームを遊ぶのは今や珍しいことではありませんが、Windowsがコンピューターの世界でシェアを取る前はWindowsよりも多くのPCでDOOMが実行されていました。そこでビルゲイツ氏はDOOMをWindows 95で遊べるようにするように指示を出し、当時GUIでは苦手とされてきたゲームグラフィックスを表示するためのDirectXの開発が行われました。
Windows 95のために作られたDoom95では、DirectXテクノロジーを利用して640x480の高解像度でゲームをプレイ出来、マルチプレイヤーランチャーも搭載されていました。ちなみにDOOM95の移植を担当したのは、後にValve softwareを設立したGabe Newell氏を率いる当時のマイクロソフトゲームチームでした。
DOOMがなければXboxの名前の元になっているDirectXが生まれることもなかったかも知れません。ちなみに上記の動画はDoom上でビルゲイツが登場するプロモーション映像です。
後に伝説となるエルダースクロールズの初家庭用移植
「スカイリム」「オブリビオン」といった後のエルダースクロールズシリーズはプレイステーションでも発売されるようになりましたが、TESやFalloutシリーズは常にXboxと共に歩んできました。TES3:Morrowindは広大なオープンワールドを実現したTESシリーズ初の3Dタイトルです。
本作が後のTESシリーズの基礎を築いた作品といっても過言ではありませんが、本作開発当初のTESは今ほど絶大に支持されるRPGではなく数ある洋RPGの一つでしかありませんでした。
現在ではNintendo SwitchやPS4など多くのハードでリリースされるTESシリーズですが、初代XboxとWindows PCでしかプレイすることは出来ませんでした。2002年に初代Xboxで発売された初代MorrowindはマイクロソフトとBethesda両社にとって大きな賭けだったと開かしています。
「Xbox版モロウィンドは、ある程度技術的な問題があるのではないかと疑っていましたが、ハードコアRPGをPCデスクトップ体験からコントローラーを使ったソファー体験に移行することは重要でした。」「私たちがそれを作ったとして、人々は本当にそれを望んでいるのでしょうか」
家庭用版Morrowindは初代Xboxのキラータイトルとなり、Haloに次ぐ大ヒット作となりました。
オブリビオン、フォールアウトのXbox 360版の成功
「TES4:オブリビオン」ではXbox 360で先行でリリースされ、その数ヶ月後にプレイステーション3でリリースされました。
Bethesdaタイトルは複雑なオープンワールドゲームであり、PS3では一般的に苦手とされていました。そのためPS3版ではBethesdaゲームタイトルはXbox 360版に比べて不具合が多く、オブリビオンに次いで発売された2008年の「フォールアウト3」、2010年の「フォールアウトニューベガス(開発スタジオのObsidianは現在Xboxスタジオ)」でもXbox 360版が不具合の少なさから注目を集めました。
Bethesda CreationKitで家庭用にMODをもたらす
Bethesdaのゲームタイトルといえば、MODコミュニティが盛んです。オープンワールド世界にユーザーがゲーム要素を加えるというこの文化は、Bethesdaのゲームを遊ぶには欠かせない要素の1つともいわれますが、ゲームの改造行為であるため家庭用ゲーム機ではこれまで許可されていませんでした。
しかしマイクロソフトはE3 2015でFallout 4のXboxバージョンにおいて、Windows版で開発されたMODをサポートすることを発表しました。さらに後にSkyrim:Special Editionでも同様にMODのサポートが行われました。
このMODのサポートはXboxで先行対応でリリースされ、ソニーからの許可を得るために多くの議論の後にPS4にも対応が決定されました。正しXbox版ではアセットデータを含むMOD体験が出来るのに対して、PS4版ではMODに多くの制限があります。
Havok神とBethesda(おまけ)
Bethesdaのゲームはリアルなオープンワールドゲームが多いですが、物を動かす際にゲームの世界に物理法則をもたらすために「Havok」というエンジンが使われています。
Havokは非常に高機能な物理エンジンミドルウェアであり、映画制作にも採用されるほどのものですが、多くの要素をリアルタイムに描画する必要があるゲームではHavokのごく一部の機能しか利用されないため、物理法則がおかしくなることがあります。
これによって人がおかしな方向に吹き飛ばされたり、食べ物が地面にめり込んで暴れ回るといった不可解な現象が発生する事があり、昔から一部の間では「Havok神」という名前で愛されてきました。
Havokは「ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド」「あつまれどうぶつの森」「アサシンクリードオデッセイ」「デスストランディング」「スパイダーマン」「ギアーズオブウォー」など数多くのリアル系大作ゲームタイトルで採用されています。
Havokはマイクロソフトが所有している技術であり、Bethesdaのゲームで全面的に使われているHavokが同じグループ会社になったのはゲーマーとしては感慨深いところではないでしょうか。
マイクロソフトとBethesdaのこれからに期待
色々な歴史を歩んできた2つのゲーム会社ですが、まもなく買収によって1つの会社になります。
フォールアウトの生みの親Brian Fargo氏がいるInxile Entertainment、フォールアウト2の開発者が中心になって作られたObsidian Entertainment、そして現在フォールアウト等の多くのゲームを作るBethesdaが一つのグループになるのは興味深いことではないでしょうか。
Bethesdaは毎年1-3本のゲームタイトルをリリースしており、マイクロソフトが目指すXbox Game Passのラインナップ強化には非常に強力な役割を果たしてくれそうです。
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