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素材や部屋の大きさまで音で表現する「Project Acoustics」【Xbox Series X】

マイクロソフトは次世代ゲーム機Xbox Series X及びDirectX12 UltimateでProject Acousticsと呼ばれるオーディオエンジンを提供します。最近は次世代ゲーム機でも音の機能について注目されることが増えているようなのでこのオーディオテクノロジーについて今回は書いていきたいと思います。

 

Project Acousticsとは

Project Acoustics(プロジェクト・アコースティックス)は3Dインタラクティブ体験を実現するためのウェーブアコースティックエンジンです。手動でゾーンマークアップやCPUを多用するレイトレーシングを使用する必要がなく、複雑なシーンでのオクルージョン、オブストラクション、ポータル、リバーブエフェクトなどのウェーブエフェクトをモデル化することができます。これはゲームエンジンやオーディオミドルウェアとも統合できます。音響のエンジンではありますが、仕組みとしては静的な照明に似ています。詳細な物理をオフラインで焼き付けて物理的なベースラインとし、表現力豊かなオーディオデザインを軽量なランタイムで実現します。

このオーディオエンジンの開発は約10年の年月をかけて開発されました。

 

波動物理学を使った正確な音響表現

レイベースの音響手法では、単一ソースからリスナーへの例キャストを使用してオクルージョンをチェックしたり、いくつかの例でローカルシーンのボリュームを推定してリバーブを使うことが出来ます。しかし小石と岩と同じくらいの大きさで塞がれている場合、これらの手法は信頼出来ないことがあります。レイはオブジェクトの周りで曲がる方法、つまり回折を考慮していないのです。Project Acousticsによるシミュレーションでは、ウェーブベースのシミュレーションを使用してこれらの効果を再現します。音響はより正確で、シームレスなものになります。

Project Acousticsによる重要な革新は、実際の音波ベースの音響サウンドと従来のサウンドデザインコンセプトを組み合わせることが出来ることです。シミュレーション結果を従来のオーディオDSPパラメータに変換し、オクルージョン、ポータル、リバーブを実現しています。デザイナーはこのプロセスを制御できます。

 

複雑なオーディオを軽量化

プレイヤーがゲーム世界を移動する際に感じられる音響効果をスムーズにし、環境効果を自動的にレンダリングします。障害物やポータルなどでこれらの波形への影響は回折が含まれるため、ゲームの厳しいCPUバジェット内での計算は通常困難です。このため、ゲームでのオーディオ開発者は従来主導で聴覚体験を設計しており、面倒でコストのかかる作業でした。Project Acousticsを使えば、デザイナーの制御を維持しながら、退屈な作業を自動化しより正確に表現出来ます。デザイナーはストーリーテリングに合わせて音響を簡単に変えられます。例えば、会話シーンでは残響を減らして会話を聞き取りやすくしたり、不気味なシーンでは減衰時間を長めにするといったことができます。CPUコアの約10%以内で動作出来ます。(Project AcousticsはXbox Series Xでは専用コアに統合されており、CPUパワーは消費しません)

 

既に実装可能

Project Acousticsのコア部分であるProject Tritonについては2016年に発売された「Gears of War 4」で既に実装されており、市販化もされています。さらにUnreal Engine 4やUnityといった大部分のゲームに採用されているゲームエンジン向けのProject Acousticsプラグインも既に利用することが出来るのです

大多数の開発者が使っている環境に既に統合可能なためXbox Series XではProject Acousticsのテクノロジーがサードパーティのゲームでも広く使われる可能性があります。

 

Project Acousticsで変わること

Project Acousticsで表現される音について説明します。

 

障害物(Obstruction)

音の発信源との間に壁などの物があると、音が障害物の周りを回折して回り込むため音が弱くなります。

 

ポータリング(Portaling)

音の発信源から壁越しでは正しく聞こえない、ドアの近くでは音が聞こえやすくなるというような現実的な表現が可能になります。

 

オクルージョン(Occlusion)

複雑な伝播と回折(緑色の回折経路)を含む、ジオメトリによる反響の減衰表現です。

 

リバーブ(Reverbarance)

緑色の音はオレンジ色の音に比べて音が大きいため、はっきりと聞くことが出来残響は少なくなります。また仕切りの後ろで聞いた場合は直接経路による回折から弱められており、音は曇り、ザン共感が高く、別の部屋で鳴った音であることを感じ取ることが出来ます。

 

ディケイ(Decay Time)

大きな部屋ほど反響が長くなるなります。これにより、音で部屋の大きさを表現出来ます。

 

Project Acousticsでどう変わるの?

Project Acoustics(Project Triton)は音波が複雑な3D空間を通り、壁や出入り口を通り、様々な部屋で反響し各三角形の素材に応答する方法をモデル化します。

これによりゲーム空間上の材質による音の反響、物体や空間の関係性を正確に音に表現しリアルタイムにゲームに反映させることが出来ます。これは単に距離や場所、障害物を設定して音にエフェクトを欠けていた従来の手法とは大きく異なる物です。

ギアーズオブウォー4のオーディオディレクタージョンモーガン氏は「バイオショックではどんな場所でも銃声は同じように聞こえる。しかしギアーズオブウォー4では大聖堂の中央で全く違う銃声を耳にすることになるでしょう。何故かというと天井が高いからです。たいしたことのないことに聞こえるかも知れませんが、ゲームでは大きな違いが生まれます。あなたがゲーム世界や現実で何千発も銃を撃っている場合はなおさら気づくことでしょう。」とコメントしています。

 

実際に体験してみよう

Project Acoustics/Project Tritonについては既にいくつかのソフトウェアで実装されています。VRタイトルであれば「Windows 10 Mixed Realityポータル」「Altspace VR」でオーディオを確認することが出来ます。Xboxゲームでは「Gears of War 4」、「Gears 5」、そして「Sea of Thieves」が対応済みです。これら3タイトルはXbox Game Passにも入っているので、「Windows Sonic」や「ドルビーアトモス」と共に最新の音響を確認することが出来ます。

Dolby Access
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開発者: Dolby Laboratories
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