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Kinect生産終了を受けて思ったこと、歴史を振り返ってみる。

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マイクロソフトは本日Kinectの生産終了を発表しました。

あまりにも高すぎるポテンシャルは7年間にわたってゲーム市場に展開されていました。

Xbox One向けのKinectは大成功というわけではありませんが、少なくともプレイする価値がある作品は複数存在しさらにゲームだけではなくテクノロジーにも大きな影響を与えました。

 

Kinectの歴史を振り返る

 

E3 2009での衝撃の発表、Project Natal

まだKinectがKinectと呼ばれていなかった頃、初めはE3 2009で発表されました。 この頃はまだProject Natalというコードネームで呼ばれていました。

これはゲームやエンターテイメントだけではなく、モーションコントロール、顔認識、音声認識、そして未来的な機能の多くが詰め込まれたマシンでした。

当時革新的とされたWiiのモーションコントローラ、Wiiリモコンに対するマイクロソフトの単なる対抗デバイスというだけではなく、SF的なデバイスであるとして多くの注目を集めました。

 

2010年 Kinect for Xbox 360発売

マイクロソフトは米国で2010年11月4日、日本では同年11月20日にXbox 360 Kinectを販売しました。

センサーにはKinectの機能が体験できる「Kinect アドベンチャー!」もバンドルされました。

これは過去に発売されたすべてのXbox 360本体に装着するだけで使うことが出来、またセンサー1つで2人以上のプレイに対応しているのも特徴でした。

 

Kinect v1の主なスペック

RGBカメラ:640x480/30fps

深度カメラ:320x240/30fps

距離:0.8~4m

 

Kinectの最大の特徴はいわゆる一般的なモーションキャプチャとは異なり、特殊なマーカーやスーツを必要とせずプレイヤーが前に立つだけで骨格を認識し、リアルタイムにゲームプレイが可能というものでした。

 

2013年 Kinect for Xbox One発売

 

2013年マイクロソフトは次世代ゲーム機Xbox Oneとともに新しいKinect、Xbox One Kinectを発表しました。

センサーを大幅にパワーアップし、従来骨格認識は2人までだったところを6人までに拡張、さらにセンサー性能が上がったことで指先の開閉、皮膚の微細な動きから心拍数まで読み取れるようになるなど大幅なパワーアップが行われました。

 

Kinect v2の主なスペック

RGBカメラ:1920x1080/30fps

深度カメラ:512x424/30fps

距離:0.8~4m

 

2016年 Hololens 開発キット 発売

マイクロソフトはHololensを2016年3月より米国で販売開始しました。

これはMixed Realityデバイスですが、デバイスの前方にKinectで使われていたものをベースとした深度センサーが搭載されており、別途コントローラを用意しなくてもハンドジェスチャーで操作することが出来ました。

また空間を読み取るのにも活用されています。

 

Kinectで遊ぶべき5つのゲームタイトル

 

1.Your Shape Fitness Evolved 2012 - フィットネス革命の名は伊達じゃない (Xbox 360)

究極のフィットネスゲーム。 今でもこれのためだけにXbox 360を動かしている人もいるんだとか。

プレイヤーはトレーナーの動きをまねするだけで本格フィットネスが体験できます。

姿勢やリズムのずれなどもセンサーを使って指摘してくれるので、他の競合タイトルよりもかなり本格的!

部位別ワークアウトだけではなく、ダンスやジャンプロープ、ランニング、ヨガといった様々なモードが収録されています。

 

2.Dance Central 3 - ダンスゲームをはじめるのにぴったり。(Xbox 360)

ダンスの練習にも、パーティゲームにもなるダンスゲーム。 過去2作品の曲引き継ぎ出来るため膨大なライブラリーから踊ることが出来ます。

練習モードも充実しており、一度パフォーマンスで踊った後練習モードに入れば正しく踊れなかった動きだけを繰り返し練習することも可能。

同じ楽曲でも難易度が異なる4つの振り付けが入っているので、初心者でも段階を踏むことでダンスが上手くなる、素晴らしいタイトルです。

 

3.Fantasia:Music Evolved - 魔法のように音を支配しろ!(Xbox 360/Xbox One)

Kinectといえばフィットネスとダンスゲームというイメージが多かった中、ダンスセントラルの開発チームが開発した音楽ゲームFantasiaも素晴らしい出来でした。

既存の音楽ゲームに近い内容で、マーカーに合わせて手を振るだけというシンプル操作に、楽曲の途中でリミックスを切り替えていくことで曲が変化する独自のシステムのおかげで音楽が遊ぶたびに変化します。

楽曲もクラシックからポップス、ロックなど幅広く収録されており、”ダンスゲームはやりたくないけどKinectやってみたい”という人にお勧めです。

 

4.Child of Eden - 芸術、音、シューティングの融合(Xbox 360)

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Kinectで音楽と映像、シューティングが融合。 REZの精神的続編的タイトルでシューティングゲームと音楽が融合したゲームデザインはそのままに、映像も変化していく新感覚のゲームです。

アート性が高いタイトルですが、ゲーム部分もしっかりしておりKinectでロックオンしてはじく爽快感は他では味わうことが出来ません。

ちなみにゲームパッドでの操作にも対応しており、パッド操作のみXbox Oneでも遊ぶことが出来ます。

 

5.D4:Dark Dreams Don't Die  - Kinectで遊ぶ本格ミステリー(Xbox One)

奇抜な世界観とキャラクター、事実上打ち切りのシナリオと人を選びそうでお勧めしがたい部分もあるのですが、Kinectを使った本格アドベンチャーゲーム、D4:Dark Dreams Don't DieはXbox One Kinectを最も有効に使ったタイトルの1つです。

Kinectで移動、アイコンの操作以外にも握ったり、振り返ることなどの動作でゲームを進めていきます。 アクション1つ1つが丁寧に工夫されているのでKinectの新しい一面をのぞかせてくれます。

 

 

Xbox One Kinectが失敗した4つの理由

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Xbox One Kinectは素晴らしいデバイスでしたが、全く市場に受け入れられませんでした。

これはXbox360で610万本の売り上げを記録したKinectスポーツが、Xbox Oneの「Kinect Sports ライバルス」では全世界でたった61万本、およそ10分の1しか売れなかったことを考えれば明らかです。

それでは何故Xbox OneのKinectは失敗してしまったのでしょうか。

 

※以前書いた「なぜKinect V2は失敗したのか」と内容的にはほぼ同じです。

 

1.仕様上の欠陥、センサー側に演算装置を持たなかった

Xbox 360のKinectセンサーでは、事前の開発機で専用プロセッサをセンサー側に備えなかった場合、Xbox 360のKinect演算負担が大きすぎるとして専用のプロセッサをKinect側に内蔵していました。 しかしXbox One版Kinectでは専用の演算プロセッサは搭載されていません。

このことからXbox Oneは当初10%以上のGPU負担が常に強いられており、Kinect機能を無効にすることでゲームのグラフィックを高める方向へと後にアップデートされました。

もしKinectの負担をXbox One側ではなく専用プロセッサ側で行えていたなら、既存のゲームタイトルでもKinectをオプションで使えるタイトルはもっと増えていたでしょうし、PC負担が少なければWindowsPCとの組み合わせで使う研究者も多かったでしょう。

おそらく専用プロセッサが内蔵されていなかったことが原因で体感としては専用チップ内蔵のXbox 360版の方が入力遅延が少ないと感じるレベルだったこともマイナスではないでしょうか。

 

2.Xbox One がローンチに失敗した

Xbox Oneはローンチに失敗しました。 特にKinectを同梱したことでライバルのPS4より100ドル値段が高くなっていたことが理由として挙げられます。 このことからKinectに興味がないコアなゲーマー層からはKinectはXbox Oneにとって足枷のような存在とみられてしまっており、これに対応するべくマイクロソフトも早急にKinectなしモデルの本体販売、Kinectを無効にするシステムへとアップデートしました。

 

3.体感ゲームブームの終焉

2006年のWiiスポーツから続いた体感ゲームブームも、2013年にもなれば既に飽きられていました。 そのためXbox OneでリリースされたKinectゲームは思ったよりも売れなかったようです。

 

4.誤解が多かった

Kinectは既存の製品とは全く異なる製品であったにもかかわらず、ゲームデバイスとして発売されたためよく他の製品と比較されました。

「Wiiリモコンの方がいい」「PS Moveの方がいい」など比較されましたが例えばフィットネスゲームであってもコントローラなしで、新しい切り口で遊べるKinectのゲーム体験は全く別物です。

Dance Dance Revolutionをコントローラで遊ぶのと専用コントローラで遊ぶのを比較すると別物であるのと同じように、Kinectも別物として考える人は多くはありませんでした。

 

また音声認識は当時あまり一般的ではなかったため、盗聴の危険性があるのでは?といった懸念もありました。

 

5.結局出来ることはXbox 360と変わらなかった

Xbox OneのKinectは素晴らしいものでしたが、SDKの機能が明らかにv1より劣っていたことでKinectタイトルの開発は難航しました。

さらに悪いことに結局のところXbox One Kinect向けタイトルの殆どはXbox 360 Kinectで出来る内容のものばかりでした。

Kinect Sports Rivalsは唯一つかむ動作を入れたゲームを複数収録されていましたが、それもあまり面白いものではありませんでした。

 

もし前述の通り専用プロセッサを搭載していたならば、既存のゲームと組み合わせることで表情の読み取りや心拍数の変化を組み合わせた新しいゲームが提案されていたかもしれませんが、本体への負担が高いKinectと既存のゲームを組み合わせるのは相性が悪く結局あまり活用されませんでした。

 

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本気でXbox OneでKinectを成功させたかったなら、Xbox Oneにバンドルせずにもう少しじっくり開発してもよかったのではないでしょうか。

急ぎすぎたためにセンサー本体も、開発キットも、ソフトもすべてが上手くいかなかったように思います。

 

Kinectが世界を変えた様々なこと

 

Kinectはゲームだけではなく様々な分野で注目されました。

その偉業をまとめてみました。

 

1.ギネス認定! 家電最速1000万台

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Xbox 360 Kinectセンサーは家庭用電化製品端末として2ヶ月で1000万台という世界最速記録を認定されています。

これはあのiPhoneやiPadよりも早いペースで販売されたことになります。

それだけ当時注目を集めたデバイスだったということですね!

 

2.医療現場でも活用

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Kinectは直接体に触れることなく使える珍しいデバイスです。

それを生かし、医療現場でも衛生的かつ効率的に使えるマシンとしてOpect開発されました。

従来は助手がディスプレイで画像端末を操作していたこところを、執刀医自ら手をかざすだけで操作することが出来るようになりました。

 

単なる技術デモにとどまらず、きちんと製品化されているのは本当にすごいことですね。

 

3.家庭用でも注目! MMD連携でモーションキャプチャ

Kinectのモーションセンサーを使い、家庭用CGモーション作成ソフト、MikumikuDanceでのモーション作成にも活用されました。

WindowsPCにKinectをつなぎ、SDKをインストールしてMMD上のKinect機能を有効にするだけでモーションキャプチャが可能になりました。

 

4.NASAのロボットアームも直感的に

 

NASAはOculus RiftとKinectを組み合わせることでロボットアームの動きを直感的にしました。

従来コントローラで操作していたのよりも格段に操作性が上がったようです。

その他ロボットを戦わせるコンテスト、ロボコンなどでもKinect搭載のロボットたちがたくさん生まれました。

 

5.街角で意外と見かけるKinect

Kinectは意外なことに日本の街角でも目にすることがよくありました。

ゲームセンターでの体感ゲームはもちろんですが駅やイベント、街角に設置されているアートもよくあたりを見渡すとKinectセンサーが埋め込まれていることも。

Kinectを使った試着システムは国内でも展開され注目を集めています。

 

まとめ:本当はもっと頑張ってほしかったよ!

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自分にとってKinectはかなり魅力的なデバイスでした。

部屋にいながら運動することが出来ますし、何よりも新しいゲーム体験を楽しむことが出来ました。

 

出尽くされたゲームジャンルが多い中、フレッシュな気持ちで遊べるKinectは貴重でしたし将来的にも期待していたのですが色々不運が重なったこともあり思ったほどXbox One版は売れませんでした。

とはいえ人気ダンスゲームJust Danceシリーズは先日も発売されましたし、とっくに製造終了となったWiiでもゲームソフトが開発されていることを思えばこれからもゲームはリリースされ続けるでしょう。

またKinectアドベンチャー!などのゲームを開発していたGood ScienceはMixed Reality向けのコンテンツ開発に移行しており、今後もMixed Reality向けの新しいゲームの開発にも期待出来ます。

 

お疲れ様! あなたが戻るの待ってるわ。

 

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  • この記事を書いた人

のっそす(WPTeq運営)

WPTeqのメインライター兼管理人。 初めてパソコンを購入した際にWindows Meでトラブルに見舞われ、それ以降Windowsに関するさまざまな資料を読むようになる。 Zuneに惚れ込んで以来、Microsoft製品にハマる。 好きなピニャータはファッジホッグ。

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